【採用のヒント】リファラル採用が「うまくいかなかった」ときに、気づいたこと

新緑がきれいな季節になってきました。こういう季節は、何となく気持ちが落ち着いて、「さて、仕事を仕切り直そう」という気分になりますよね。私だけでしょうか。

私はホテル支配人を16年間務めていました。ビジネスホテルで12年、温泉ホテルで4年。さまざまな採用の苦労を経験してきましたが、その中でも今日は「リファラル採用」について正直にお話ししたいと思います。

① リファラル採用とは何か

リファラル採用とは、自社の社員に知人・友人を紹介してもらう採用手法のことです。

求人サイトへの掲載費用がかからず、自社の文化をある程度知っている人から紹介されるため、「採用ミスマッチが減る」「定着率が上がる」と近年注目されています。特に人手不足が深刻なサービス業・宿泊業では、コストをかけずに採用できる手段として広がってきています。

② 私がホテルでリファラル採用に取り組んだ話

10数年前ですが、客室清掃スタッフの確保に苦労していました。なかなか応募が来ない。求人誌も反応が薄い。そんな中で試みたのが、既存スタッフへの声かけ、いわゆるリファラル採用でした。

結論からいえば、あまりうまくいきませんでした。。

ひとつは、人間関係の問題です。友人・知人を職場に連れてきたスタッフが、いざ一緒に働き始めると「こんな人だとは思わなかった」と言い出すケースがありました。プライベートと職場は違う。普段仲が良い友人でも、仕事上の姿勢や責任感は別物なのです。

もうひとつは逆のパターンで、仲が良すぎることで起きる問題です。紹介した側とされた側が職場でも結託しまい、他のスタッフとの人間関係のバランスが崩れてしまう。気づけば小さな派閥のようなものができていた、ということもありました。

③ リファラル採用が「難しい」本当の理由

この経験を通じて感じるのは、リファラル採用は「採用コストを下げる方法」ではなく、「組織文化を共有できる人を招き入れる方法」として設計しなければならない、ということです。

紹介する社員が「この職場のどこが好きか」「どんな人に合うか」をきちんと言語化できている組織では、リファラルはうまく機能します。逆に、「人手が足りないから誰でもいいので紹介して」というスタンスでは、紹介する側も紹介される側も困ってしまいます。

また、紹介した社員に責任とプレッシャーを感じさせすぎないような配慮と仕組みも必要です。「自分が連れてきた人が辞めた」という罪悪感で、紹介した本人が離職してしまっては本末転倒です。

④ それでもリファラル採用を諦めなくていい理由

とはいえ、リファラル採用のポテンシャルは本物だと思っています。

大切なのは、仕組みとして整えること。具体的には次のような点が参考になります。

  • 紹介インセンティブを設ける(金額よりも「感謝が伝わる形」が効果的なことも)
  • 紹介前に職場の雰囲気や仕事内容を正直に伝えるための「採用広報」を整備する
  • 紹介した社員が孤立しないよう、入社後のフォロー体制を作る
  • 知り合い同士が同じ時間・場所で勤務しないように配慮するなど

SNSで会社の日常を発信することは、リファラル採用にも直結します。スタッフが「うちの会社、こんな感じだよ」と自信を持って紹介できる素材を、日々の発信が作ってくれるからです。

⑤ 採用は、人と人との関係性から始まる

求人票は「出会いのきっかけ」に過ぎません。リファラル採用も同じで、紹介してもらえる会社になるには、そこで働く人が誇りを持てる職場であることが前提です。

採用に悩む経営者の方に伝えたいのは、「誰かに紹介したくなる会社にする」という視点を持つことが、すべての採用活動の土台になるということです。

私自身、ホテルでの失敗から学んだことが、今の採用支援の仕事に生きています。うまくいかなかった経験こそ、一番のヒントでした。

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