フレックスタイム制とは1日の労働時間の長さを固定的に定めず、1箇月以内の一定の期間の総労働時間を定めておき、労働者はその総労働時間の範囲で各労働日の労働時間を自分で決め、その生活と業務との調和を図りながら、効率的に働くことができる制度です。導入のためには、様々な要件を満たす必要があります。
①就業規則に定める
就業規則その他これに準ずるものにおいて始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねる旨を定める。
②労使協定を結ぶ
労使協定には、以下の条項を定める必要があります。
- 対象労働者の範囲・・・各部、各人でも構いません。
- 清算期間とその期日・・・基本的に1か月として定めます。
- 清算期間における総労働時間・・・総労働時間は1週間の平均所定労働時間が以下の範囲で設定しなければなりません。
- 標準となる1日当たりの労働時間・・・年次有給休暇を取得した場合に、何時間勤務したこととするのかを設定します。
- コアタイム・・・労働者が1日のうちで必ず働かなければならない時間帯です。必ず設けなければならないものではありませんが、これを設ける時は、その時間帯の開始及び終了の時刻を明記しなければなりません。
- フレキシブルタイム・・・労働者がその選択により労働することができる時間帯に制限を設ける場合は、その時間帯の開始及び終了の時刻を定める必要があります。
③労働時間の算定
フレックスタイム制は、始業及び終業の時刻を労働者の決定にゆだねているものの、使用者には、実労働時間を把握する義務があります。把握した実労働時間と総労働時間とを比較して適切な賃金清算を行う必要があります。
④注意点
- コアタイムを長く設定したり、フレキシブルタイムを著しく短くするなど、本人の裁量が認められない場合はフレックス制として認められない場合があります。
- 18歳未満には導入できません。
- フレックスタイムを導入しても正確な労働時間な管理を怠ることはできません。日々の労働時間を正確に把握し、清算期間ごとに残業代を清算しなければなりません。
導入に当たっては、専門家にご確認ください。