飲食店・宿泊業における変形労働時間について

飲食店や宿泊業の場合、1日8時間勤務×週5日という、よくある勤務時間が馴染まないケースがほとんどであると思います。

その場合、繁忙日(期)と閑散日(期)で、労働時間を上下させることで、残業時間を減らすことができます。

それを変形労働時間制と言います。変形労働時間制には、1か月単位と1年単位がよく採用されています。

1か月単位・1年単位ともに、その期間(1か月・年)を平均して週40時間を超えないように労働時間を設定するものです。飲食業・宿泊業では、特に1か月単位が用いられることが殆どではないでしょうか。宿泊業だと、観光ホテルなどは1年単位を用いることもあります。今日は特に1か月単位についてお話しします。

1か月単位の変形労働時間について

1か月単位の場合は起算日を設定し、その起算日に1か月間の勤務時間を労働者へ周知します。忙しい週末は1日10時間労働、暇な平日は1日6時間労働など、フレキシブルに勤務時間を設定できます。1か月間の労働時間が平均して週40時間を超えなければ問題ありません。

1か月単位の変形労働時間は、労基署へ届け出る必要はなく、就業規則に定め労働者へ周知すれば問題ありません。

では、週40時間を超えない労働時間とは何時間なのでしょうか、これはいろんな計算がありますが、一般的に1週間の法定労働時間×変形期間の歴日数÷7日で算出する形が望ましいと考えます。

この辺りの計算は、就業規則の賃金規程で規定しておく必要があります。

また、各日のシフト時間については、指定する可能性のある勤務時間をすべて就業規則で網羅しておかなければなりません。

例) ホールスタッフ ①12時~21時 ②13時~21時 ③14時~21時 ④14時~22時                                            

こんな形で、全ての勤務パターンを記載しておいてください。これを怠った大手外食チェーンが、裁判によって未払残業時間として認定さたケースがありました。

なおこの場合の残業時間については、シフト勤務時間を超過した分が残業となります(1か月173時間でシフトを組んでいる場合)。

なお休日については、総労働時間数が173時間を超えなければ、1週間で1日以上の休日があれば足りますが、あらかじめ月間休日数・年間休日数は設定しておいた方が、安心して働くことができます。

フレキシブルな変形労働時間は、無駄な勤務時間を減らし労使ともに働きやすい環境に繋がりますが、一方でルールを的確に把握し、かつ労働者への周知が欠かせませんので、ぜひ、社会保険労務士にご相談ください。

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