2026年に企業の義務化へ。「カスタマーハラスメント」から職場を守るために、いま企業ができること

いま、なぜ「カスハラ対策」が必要なのか?

11月5日(水)、加古川労働基準協会様にて「企業におけるカスタマーハラスメント対策セミナー」の講師を務めました。ご参加いただいた皆さま、主催の加古川労働基準協会様、ありがとうございました。

今回のテーマである「カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)」は、今後さらに重要性が増すトピックです。というのも、2026年中に、企業に対してカスハラ防止対策が義務づけられる見通しだからです。

カスハラとは、顧客や取引先、施設利用者など、社外の関係者から従業員が受ける、社会通念上の許容範囲を超える不当な言動を指します。たとえば、暴言、土下座の強要、脅迫、金銭や商品の過剰な要求、継続的な嫌がらせなどが含まれます。

近年では、単なる「クレーム対応」では片づけられない深刻なケースが増加。厚生労働省の「職場のハラスメントに関する実態調査(令和5年度)」によると、過去3年間に悪質なクレームを経験した人の割合は10.8%に上ります。

さらに深刻なのが、精神障害による労災認定件数です。

  • 2023年度:52件(うち45件が女性・1件は自殺)
  • 2024年度:108件(うち78件が女性)

このように年々増加傾向にあり、早急な対策が求められています。

カスハラとは何か?その定義と判断の難しさ

カスハラには、明確な3つの定義があります。

  1. 顧客・取引先・施設利用者などの外部関係者が行うこと
  2. 社会通念上の許容範囲を超える言動であること
  3. 従業員の就業環境が害されること

ただ、これらのうち「社会通念上の許容範囲」という部分が非常に曖昧で、現場の判断に委ねられるケースも多くあります。

たとえば以下のような行為が該当します。

  • 暴行や傷害
  • 脅迫、中傷、侮辱、暴言
  • 威圧的な言動、土下座の強要
  • 執拗なクレームや拘束的な要求
  • 性的な言動
  • 商品の不当な交換や金銭補償の要求

問題なのは、これらが「顧客の声」として扱われ、従業員が我慢を強いられるケースがいまだに存在している点です。

企業側としては、過去に受けたクレームの傾向を洗い出し、自社にとって「どこまでが許容範囲か」を明確に線引きしておくことが必要です。グレーなケースを放置すれば、現場は常に不安とストレスにさらされることになります。

私自身、ホテル支配人時代には悪質なクレーム対応を何度も経験しました。「謝れば済む」「上司が出て行けば収まる」——そうした対応では、長期的に従業員の心をすり減らすことになり、離職やメンタル不調につながります。

カスハラを「経営リスク」として捉える時代へ

現時点で、カスハラ対策に関する法律上の義務は明文化されていません。しかし、他のハラスメント(セクハラ・パワハラなど)と同様に、以下のような取り組みが求められています。

  1. 方針の明確化と従業員への周知・啓発
  2. 相談・対応体制の整備
  3. 事案発生時の迅速かつ適切な対応

こうした対応を怠ると、「安全配慮義務違反」として企業が法的責任を問われる可能性も出てきます。現場任せにせず、組織的に対処する姿勢が何よりも大切です。

特に大事なのは、対応する従業員を孤立させないこと。クレームやハラスメントを受けたときに、「自分だけで抱え込まなくていい」という安心感を持てる職場づくりが、従業員の心身の健康を守る第一歩です。

風通しのよい組織づくり、情報共有の仕組み、対応マニュアルの整備など、やるべきことは多岐にわたります。ですが、その積み重ねが「働きやすい職場」「離職を防ぐ環境」につながり、最終的には企業の信頼性向上にも直結します。

そして、2026年には「就活セクシャルハラスメント」の防止措置も義務化されます。カスハラと合わせて、採用段階から適切なハラスメント対策を講じることが、これからの企業には求められています。

カスハラは、現場の問題ではなく、経営の課題・リスクです。
見て見ぬふりをすれば、社員の健康と企業の未来を損なう結果になります。2026年を待たず、今からの準備が必要です。

ぜひ、専門家の社労士にご相談ください!

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